い関係なのだから、警視庁へ行って謝らずに済んだだろう。警察が国民に対してなすべき警衛のサービスに就いては、国民自身が之をオブザーブしなければならない筈ではないだろうか。警衛を頼んでおいた門番や守衛にも叱られるような主人は困る。国有鉄道のサービスに注文をつけたお客さんが一々鉄道省のお役人から叱られていては大変だ。――それとももし警察が大衆へサービスすべきものではないというなら、一体警察は何にサービスする気か。私は今にしてどうやら判るのである、なぜ「警察後援会」に無条件に賛同出来なかったかが。大衆が警察を後援しようということが元来無理な企てなのだ。矢野氏の失敗が之を証明している。

   三、家庭考査

 小学校の一年からズーット一番を通して来た女の子がいて、それが教員になることを希望しているが、父親が今現に懲役に行っているので、師範学校へ這入れないと思うが、どうしたものだろう、という婦人相談がある(読売)。河崎ナツ子女史によると、理窟としては前科者の子弟であろうと何であろうと、入学を拒まれる理由はない筈であるが、今日の社会の実情から云えば、入学希望者が過剰なため、庶子や私生児や三業者の子供がいけなかったり、資産や家の大きさまでが入学に関係したりしている、ということだ。まして前科者の子弟をやというわけである。処で普通学務局長の下村寿一氏は、刑余者の子弟だという理由で入学出来なかったというような噂さは聞かぬ、師範学校の校長は併し、なるべく学風[#「学風」に傍点]に適した生徒を取るように賢明な裁断を下すべきだろう、と云っている。処が更に女子師範学校の校長は、前科者の子弟ということに対しては小学校の児童は非常に敏感なので、自然生徒に軽侮されることになるから、結局教育家として不適任だと、相当ハッキリ告白しているのである。だが問題は単に師範学校に這入れるか這入れないかの問題ではないのであって、一般に今日男女を問わず中等学校(小学校も特別なものの場合には同様だが)以上の学校の入学考査全体に亘る問題なのである。又それに前科者の子弟であるかないかだけの問題でもない、どういう家庭[#「家庭」に傍点]の子弟かということがこの際の一般問題なのだ。
 特殊の小学校や私立女学校の或るものは、学校営業の目的から云って、児童や生徒の家庭の資産状態を重大視するのは当然で、学校への寄付能力の貧弱なものを
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