S体への関係を含むことがその特色である。一つの形は全体へ「拡張され得る」ものでなければならぬ。空間は一つである。此処という位置の感覚は彼処という位置の感覚を呼び起こさぬ限り此処の感覚とはならない。然るに赤の感覚がこのような意味で青の感覚を呼び起こすのではない。このことも亦空間表象の両面性という事情に基いている。空間表象は他の感覚内容と同格ではない。であるから又所謂部分的内容という考えもそのまま承認出来なくなる。抑々視空間と例えば触空間との関係はどう考えられるか。シュトゥンプフによれば何れも根源的であって而も両者は一つの「体系」を造る(S. 278)。二つの空間のこの「統一」は根源的な知識(〔uranfa:ngliche Erkenntnis〕)というの外はない(S. 288)。併し今視空間を視覚の部分的内容とし触空間を触覚の部分的内容とすれば、視覚と触覚とは明らかに別であるから、二つの部分的内容が一つとなることは保証されていない。それが根源的な知識であるためにはその統一は視覚にも触覚にも属さない或るものでなくてはならぬ。即ち二つの空間は部分的内容であるにしても又同時に全体的内容とは独立
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