歴史的本質(そして之が自然科学の一科学としての存在の本質を告げているのだが)を決定される例は、エジプト・ギリシア以来、古来無限である。なぜなら殆んど凡てがそういう場合に帰着するからだ。だが著しい例としては工業技術とニュートンの物理学乃至微積分学との関係(その説明については前を見よ)や農業技術とC・ダーウィンの進化理論との関係を挙げることが出来る。ダーウィンの進化理論はイングランドに於ける園芸技術・畜産技術の発達の結果であるとさえ云ってもいい。ペー・ヴァレスカルンは云っている、「ダーウィンにとってはイギリスは農業用動植物の変異および淘汰の研究に関する古典的な国であった。イギリス工業の発達と共に、資本主義は農業においても鞏固化された。粗笨な経営は漸次集約的形態に代えられた。改良された耕作方法、農業へ機械の採用を宣伝し、農業用家畜の合理的な飼養を宣伝するために一群の団体が創立された。特に家畜の飼養に関しては大きな事業がなされた。これらすべてが豊富な実際上の材料を提供した」(「ダーウィン主義とマルクス主義」――前出の中)。ダーウィンの淘汰理論はイギリスに於ける家鳩の無数の変種を材料としている。
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