を懐いている。従来科学を可なり単純に、認識[#「認識」に傍点]という風に考えて説を進めるのが普通であったが、併し科学が科学的であるためには、「知る」ことだけでは留め釘が足りないので、現物を製造生産し得て初めて科学的と呼び得るのではないかと思うようになった。
 科学的認識というのは、恐らくその必然的な副産物で、而もそれは再生産に利用して甚だ有効な副産物であるようである。今後は少し、この点を省察して行きたいものである。
[#地付き](一九四一・四)



底本:「戸坂潤全集 第一巻」勁草書房
   1966(昭和41)年5月25日第1刷発行
   1967(昭和42)年5月15日第3刷発行
入力:矢野正人
校正:松永正敏
2003年9月11日作成
青空文庫作成ファイル:
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