ノ於ける[#「に於ける」に傍点]一つの特殊な存在である。それは社会的意識[#「社会的意識」に傍点]である、之こそが本当の超個人的意識[#「超個人的意識」に傍点]なのである。

 そう云っても併しまだ規定は根本的には不充分である。社会的意識――この超個人的意識――はもはや全く個人的意識[#「個人的意識」に傍点]ではないにも拘らず、やはりまだ個人主義的に取り扱われるのが、之までの伝統であるように見える。と云うのは、社会的意識は社会心理学[#「社会心理学」に傍点]にとっての対象であるが、この社会心理学なるものが、全く個人心理学からの類推か拡大かに帰着するのであって(ル・ボンの『群集心理学』やマクドゥーガルの『社会心理学』を見よ)、結局個人として個人のもつ意識から出発して社会の又は社会人の意識を取り上げようとするものに外ならないからである。だからここでは社会的意識が、まだ殆んど社会[#「社会」に傍点]自身の契機からは問題とされずに、依然として意識[#「意識」に傍点]の契機から、即ち又個人的意識の契機からしか取り上げられていない。で意識が、歴史的社会の存在に依存し、夫によって規定されるなどという
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