煤u体系」に傍点]であって、抽象的な之あれという真理の断片[#「真理の断片」に傍点]なのではない。二つの社会科学体系が、その対立にも拘らず銘々夫々の科学性――真理性――を自負することが出来るのは、理論に於けるこうした論理の云わば、立体性[#「立体性」に傍点]に基くのである。一定の端初出発さえ与えられればあとは論理の単なる整合をたよりにして、諸考察や実証的諸事実に対する辻褄を合わせて行くことは、或る程度まで至極容易である。問題は併し如何なる端初を採用するかに存するのである。
 社会科学に於て一定の端初を選択させる動機[#「動機」に傍点]は、[#傍点]一定の問題に対する関心[#傍点終わり]である。例えば或る社会科学は社会を問題にすると称しながら、実は社会ではなくて個人の生活[#「個人の生活」に傍点]が内実の切実な問題となっている、そうすれば社会も亦個人の問題からの延長としてしか問題になることが出来ない――個人主義。之に反して社会主義的社会科学は個人の問題ではなくて社会を本当に切実にテーマとする、社会の問題こそこの社会科学の成立の動機をなしている、端初はこの問題[#「問題」に傍点]の内に横た
前へ 次へ
全378ページ中151ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング