ヤして3字下げ]
* ソクラテスはギリシア哲学(それは元来自然哲学であった)の内にその「実践」哲学を導き入れた。処がプラトンに来れば明らかになる通り、このギリシア人にとって最も秀でた実践は正に「観照」なのである。――「実践」が如何に非実践的であり得るかが之でも判ろう。
[#ここで字下げ終わり]
さてそうすると、実践的世界観から発生する又は夫が根柢に横たわっている哲学は、当然実証性[#「実証性」に傍点]を有った哲学――但し無論かの「実証哲学」のことではない――、即ち実証科学と連帯を有った哲学、であらざるを得ない、ということになる。
実践的世界観から裏づけられた哲学は、まず第一に唯物論的存在論[#「唯物論的存在論」に傍点]である。之に反して観想的世界観に裏づけられた哲学は第一に、観念論的存在論[#「観念論的存在論」に傍点]となる。蓋し一般に存在論[#「存在論」に傍点]――存在・実在の理論――は哲学体系[#「哲学体系」に傍点]の第一段[#「第一段」に傍点]だと考えられる(第二段に就いては後を見よ)。
ギリシア哲学が学的な――単なる世界観ではない処の――哲学として始まったのはタレスから
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