3字下げ]
* 観念が歴史的現実――現在――を踏み越えた場合の虚偽の形態をユートピア[#「ユートピア」に傍点]と呼び、之に反対な場合の虚偽形態を、(悪き意味に於ける)イデオロギー[#「イデオロギー」に傍点]と名づけることが出来る。
[#ここで字下げ終わり]
 時代から離れた真理の、歴史的存在と喰い違った観念の、有つこのような虚偽形態を、吾々は一般に時代錯誤[#「時代錯誤」に傍点]と呼んでいる。之によって社会の歴史的運動の必然性は忘れられ[#「忘れられ」に傍点]、又は見誤ら[#「見誤ら」に傍点]れる*。――さてこの時代錯誤こそ、論理に於ける無意識的虚偽[#「無意識的虚偽」に傍点]の代表的虚偽形態であるだろう。だが之はなぜ無意識[#「無意識」に傍点]なのか。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
* 事物の単なる流行[#「流行」に傍点]と、その事物の歴史的使命[#「歴史的使命」に傍点]とを混同するものは、今日吾々が好く見る一つの時代錯誤である。時代錯誤的人物は、歴史的使命をもつ或る現象を、単なる流行として片づけようと欲する。そのようなものこそ、今吾々が取り扱っている無意識的虚偽の適切
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