っているのではあるが、書物全体が実は、初めから一定のテーマを追跡することによって、それからそれへと次々に展開された諸問題の一系列を形づくっている。それ故この書物を初めから順次に読むならば、個々の文章だけでは気付かれなかったような必然的な統一が、容易に読み取れるだろうと思う。そこにこの書物を出版する理由がある。
ここに取り扱われたものは主に論理[#「論理」に傍点]に就いての問題であると云うことが出来る。ただその論理という言葉が、所謂形式論理学でいう夫とは別であるということは、この書物の名前自身が物語っている通りである。人々は今まで観念の、思惟の、認識の、科学の、論理学の周囲に集っていたように思われる。そして思惟[#「思惟」に傍点]の論理学に就いては、之を論理学以外のものの責任に帰して好いように考えていたのではないかと思われる。併し今吾々にとって必要なのは、思想[#「思想」に傍点]の論理学なのであり、それが「イデオロギー」の論理学なのである。
イデオロギーという言葉を観念形態[#「観念形態」に傍点]という意味に用い始めたのはカール・マルクスの独創に由来するといわれている。従って今云うイ
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