ゞけました。仕事が苦しいばかりでなく、上のヘッドの看護婦が余り人物の人でないもので、下の私共は実に辛《つら》く思いました。実に忙《せわ》しいと申しましたら、あのような思いは実に/\初めてゞ御座います。若し日本に居ってならば、とても私には勤まりません。此処ではいや応なしですから、とにかく務めて居ります。私は卒業はするかしないか、私はどうしてもいやになれば明日にも止める積りで居ります、たゞ葛城が米国に居ります間は、厄介をかけるのが気の毒ですから、どうか続けたく思います。
友人の中にも、なか/\よい家庭に育って性質のよい人もありますが、また意地の悪い人もあります。やはり面も性質も日本人と同じで御座います。人類ですから、やはり皆人情は同じで御座います。
私は自分のベストを尽して居ります。親切と正直とを旨《むね》として居ります。病人もよくなついて呉れますし、自分の受持の病人には満足を与える事が出来ましたから、此れは自分の第一の宝《たから》と思うてよろこんで居ります。家に帰る時は、皆よろこんで感謝して帰りますから、是れが私の楽しみで御座いました。
婦人の病室に居りました時は、何から何まで一切世話をせねばなりませんし、中には老人で不随の人もありますから、床ずれの出来ぬようにそれ/″\手あてもせねばなりませんし、何ともかとも申されぬ程忙わしゅう御座います。大抵十二人位の人の世話を一人でいたしますし、また他の病室の病人の事も世話をせねばなりませんから、実に苦しゅう御座います。
看護法の実例なぞは、校長が一々生徒を集めて教えて呉れます。また今は医師が解剖《かいぼう》と生理など講じて居ります。昨年はバクテリヤについて講義もきゝました。また校長が自ら看護法など学術的に教えて居ります。講義なども、学術の名は私は知りませんから、なか/\むずかしいですが、またこちらの人もあまりよくは知りませんから、共に勉強して居ります。むずかしいですが、少しは興味が御座います。看護婦は医学の事も知らねばなりませんから、余程勉強せねばなりません。一日一日と少しずつ何かと覚えて参りますから、有り難く思うて居ります。初めての米国にてのクリスマス、余り楽しくも御座いませんでしたが、然しクリスマスの時は、此処《ここ》でもなか/\にぎやかで御座いました。当日は四時間|暇《ひま》が取れました。クリスマスディナーも御座いまして、なか/\盛んで御座います。皆々上機嫌で、うれしそうで御座います。
学校でもクリスマスにはクリスマスダンスが御座いました。私は生れて初めて真の舞踏会と云うものを見ました。実に優美なもので御座います。夜の八時頃から翌朝の二時か三時まで踊《おど》って居ります。元気のよいのには、おどろきました。私は夜会服のかわりに日本服を久々で着ました。皆々非常によろこんでくれました。
御正月には休みもなく、元日から常と同じに働きました。御正月には何となく故郷《ふるさと》がなずかしく、さびしくって堪《たま》りませんでした。毎日/\忙わしく働いて居りますから、常にはホームシックも起りませんが、半日|暇《ひま》の時などは、実にさびしくて堪らぬ事があります。余り私は外出はいたしません。少なくも一週間に一度は出て、外の変った空気をすわねばならぬと知りつゝも、疲れるのがいやなので、つい/\出ません。当地の人は皆元気です。夜十二時に帰っても、翌日はやはり同じに務めます。学校では、一週に一度は十二時までの許しを貰えますし、三度は十一時までの許を貰えますし、常には十時までは何処に行ってもかまわぬようになって居ります。此処は感心で御座います。此の様に自由でも少しも乱れません。日本の女学校などには、見ようと思うても見られぬ処で御座いましょう。
私は今は自分で働いて自分で生活して居りますから、日本に居った時よりも、苦しみながらも、或一種の愉快が御座います。
葛城はユニオンの方も卒業に近づきました。早いもので、三年も束《つか》の間に過ぎ去りました。いつも私共は御なずかしき御両人様《おふたりさま》の御噂のみいたして居ります。千歳村、実になずかしく思います。
大抵二週間に一度は、逢います。前から私はニューヨークには独りで参れますから、半日暇を取れる時は、二週に一度は参ります。
当地は実に寒さはきびしゅう御座いまして、雪は度々降りますが、家の中の寒防《かんぼう》はよく備わって居りますから、家の中の温度は、春のような気候で御座います。私はシモヤケは毎年出来ましたが、今年は冷《つめた》い思いなどは少しもいたしませんから、手はきれいで、少しも出来ませんから御安心下さいませ。日本に居りました時は、シモヤケには困りました。外は随分寒く、身を切らるゝ様で御座います。雪が降りますと、なか/\溶《と》けませんで、幾日も/\つもって居
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