くらん》して、それを機会に、ベニイ一派に痛手を負わそうと勇み立っているのです。そのために、この数週間、国境の警戒は、あの通り殊に厳重を極めているのですが、ここに、驚くべき一事は、この列車で、あの、ベニイが一番怖がっている、巴里《パリー》の「黄嘴紙《ベッコ・ジャロ》」の論説部員の一人が、アンテ・ファシズム宣伝の目的で、決死の羅馬《ローマ》入りをしようとしていることです。それは、その筋には知れています。だから、この汽車の乗客の半ばは、政府の密偵であると、私は断定するのです。しかし、その勇敢な「|黄色い嘴《ベッコ・ジャロ》」は、名前も顔も、ちゃんと解っていると言いますから、途中で暗殺されずに、ともかく無事に羅馬へ着くことが出来れば、それだけでも、彼または彼女にとって、それは、非常な成功でしょう。が、いま私は、その冒険者の上に、瞬間の危機が迫っているのを嗅ぎます。こう申し上げれば、なぜ私が、突然コンパアトメントを暗くして、この紳士の膝に保護を求めたかが、お解りでしょう。』
『まさか、あなたが、国際裸体婦人同盟員である一方、その、命知らずな「|黄色い嘴《ベッコ・ジャロ》」の論説部員なのだと、仰言
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