妻楊枝・ハングルグの荷揚人夫・朝の入浴と玉子・下へ曲っている足の小指――これは誰でも未知の人に話しかける時の、彼女の有名な外交文書です。
「7夫人と23氏」は、私の知る限りにおいてモンテ・カアロの最善の産物ですよ。今度キャジノで教えて上げますから、見て御覧なさい。「23」はちょいと故ルディといった感じの、中婆さんには持って来いの玩具《おもちゃ》です。もっとも、シリア人ですから、小鳥のような円い眼にすこし落ちつきがありませんがね――。』
 気がつくと私の手は空《から》だった。菫はやっぱり紫のりぼん[#「りぼん」に傍点]に|X《クロス》をつけたまま逃げたのだ。



底本:「踊る地平線(下)」岩波文庫、岩波書店
   1999(平成11)年11月16日第1刷発行
底本の親本:「一人三人全集 第十五巻」新潮社
   1934(昭和9)年発行
※底本には、「新潮社刊の一人三人全集第十五巻『踊る地平線』を用いた。初出誌および他の版本も参照した。」とある。
入力:tatsuki
校正:米田進
2002年12月9日作成
青空文庫作成ファイル:
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