ウロス》ステイキ」か何かがあまねく食卓に往きわたろうというわけで、ことによると、今日の牛ドン・カルヴァリヨなんかも、二、三日するとモンテイロ街のペトラの下宿で、皿の上の無邪気《イノセン卜》な、一肉片に変形して私のフォウクの下に横たわるかも知れない。用心しよう。
 やあ! 急に騒がしくなった。
 ベルモントだ!
 ベルモントだ!
 ベルモントが出て来た。
 いつの間にか手銛士《バンデリエイル》と代り合って、いよいよ仕留花形役《マタドウル・デ・トウロス》のベルモントが砂を踏んでいる。
 彼の業《わざ》は素早かった。
 金モウルの手に剣《エストケ》がきらめいたと思ったら、湿った音を立てて「赤い小山」が横に倒れた。
 脱帽したベルモントが、円形スタンドの全方面へまんべんなく挨拶してるのが見える。
 総立ちだ。
 カアネエション・指輪・CAPA・帽子・すてっきなんかが雨のようにリングへ飛ぶ。
 オレイハ!
 オレイハ!
 オレイハ!
 太陽の叫喚。
 人民の声。
 耳《オレイハ》! 耳《オレイハ》! 耳《オレイハ》!
 牛の耳を切り取ってベルモントへ与《や》れという観衆の要求《デマンド》である。
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