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「帝国空路社《インピリアル・エアウェイス》――LTD――は、この、天空旅行の便宜のために、特に以下列記されたる個条を必ず一読あるべく、われらの乗客各位がそれほど充分親切であらんことを乞いねがうものなり。何となれば、そはこれらの事項を各位の満足にまで説明すればなり。
一、飛行機――空における――の正規の運動。
二、いかにして最大の安楽のうちに天を往くべきか。
三、非常時の対策、およびその場合の心得。」
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第三がずきん[#「ずきん」に傍点]と私の胸を衝《つ》いたこというまでもない。すなわち、あえて依頼を俟《ま》たずとも急遽一読すべく充分以上に親切である。
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「べつに飛行機に乗るために特別の着物は要りません。長時間のドライヴに適当なものなら何でも間にあいます。
離陸のさい、たとえ機が飛行場《エロドロウム》の隅へぶつかりそうに突進することがあっても決して驚いたりあわてたりしてはなりません。飛行機はつねに風にむかって離着陸するものですから、こうしてしばらく滑走しているうちに、いつとはなしに自然に地面から浮かぶのです。
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