ないの? 可愛がって上げるわ。いらっしゃいよ。あたしの部屋へさ。廊下の突き当りよ。
劉東夏 いけないよ、そんなところから顔を出しちゃあ。叱られるぞ。
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禹徳淳が寝台に起き上る。女はあわててドアを閉めて去る。
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禹徳淳 また淫売かい。
劉東夏 (笑って)ええ、あいつとてもうるさいんです。
禹徳淳 何時だい。
劉東夏 さあ――今三時打ったようですよ。
禹徳淳 かわろうか。
劉東夏 いいんです。もう少ししたら――。
禹徳淳 起したまえ。かわるから。
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禹徳淳が再び寝台に横になると同時に、弾かれたように安重根が起き上る。
[#ここで字下げ終わり]
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安重根 ひどい汗だ。(腋の下へ手をやって)こんなに寝汗をかいている。
禹徳淳 (ベッドから)よく眠っていたよ。君は朝までぐっすり眠らなくちゃあ。僕と劉君が代り番こに起きているから大丈夫だ。
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安重根もふたたび枕に就き、劉東夏は戸口の椅子で居眠りを続け、しんとなる。長い間。
[#ここで字下
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