《ごく》簡短な口頭試験に私は及第したのであった。
今でも耳に残っていますが、その時、師匠が安さんに向って、
「何ね、新弟子の人柄を見抜くには、穿《は》き物の脱ぎ方を見るのが一番だよ。遠くの方へ引ッ散らかして置くような奴《やつ》は碌《ろく》なものはありはしない。満足に揃《そろ》えるほどの子供なら物になるよ」
私はその時、満足に穿き物を揃えて脱いでいたと見えます。
底本:「幕末維新懐古談」岩波文庫、岩波書店
1995(平成7)年1月17日第1刷発行
1997(平成9)年5月15日第6刷発行
底本の親本:「光雲懐古談」万里閣書房
1929(昭和4)年1月刊
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:山田芳美
校正:土屋隆
2006年1月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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