三年三月十日のことですが、妙なことが縁となって、大工になるはずの処が彫刻の方へ道を換えましたような訳、私の一生の運命がマアこの安さんの口入れで決まったようなことになったのです。で、私に取ってはこの安さんは一生忘られない人の一人であります。
 後年私はこの安さん夫婦の位牌《いはい》を仏壇に祭り、今日でもその供養を忘れずしているようなわけである。



底本:「幕末維新懐古談」岩波文庫、岩波書店
   1995(平成7)年1月17日第1刷発行
   1997(平成9)年5月15日第6刷発行
底本の親本:「光雲懐古談」万里閣書房
   1929(昭和4)年1月刊
入力:山田芳美
校正:土屋隆
2006年1月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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