名古屋スケツチ
小酒井不木
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)金の鯱鉾《しゃちほこ》に
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三時間|乃至《ないし》五時間も、
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)すかたらん[#「すかたらん」に傍点]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)げた/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
はしがき
『名古屋、おきやあせ、すかたらん』
誰が言ひだしたか、金の鯱鉾《しやちほこ》に、先祖代々うらみを持つた人でもあるまいに、まんざら捨てたものでもない名古屋の方言から、『おきやあせ、すかたらん』を選んで、その代表的のものとするなど、まことにすかたらん[#「すかたらん」に傍点]御仁と申すべきである。
だが、どうも、その方言の響がミユージカルでないことは、いくら慾目でも、認めざるを得ないところであると同時に、市街全体が、金の鯱鉾に光を奪はれたのか、何となく暗い感じのするのも争はれない真実であらう。『と同時に』を今一つ、名古屋人の心が、薄情で、我利《がり
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