をつけると、法医学教授の奥田博士とそっくりの顔になるんだ。だから、教授に扮装して教室へ入りこみ、ダイヤモンドを取り出してくればよい」
「なるほど、もしそうだったら、そいつは面白い」と、これまで三人のうちで扮装の一ばん巧だった京山は、一種の誇りを感じていいました。が、次の瞬間、急に顔を曇らせました。
「けれど、俺は解剖のことをちっとも知らないんだから駄目じゃないか。もし沢山の人がいたら、何とも仕ようがないじゃないか」
「そこだよ、貴様の腕を見せるところは、つまり、教授に扮装して、助手に命令し、万事助手にやらせて見ておればよいのだ」
「けれど、そうすれば、ダイヤモンドをその助手にとられてしまうじゃないか」
「無論ぼんやりしていてはいけない。即ちその助手に命じて、胃と腸は都合によって自分で研究して見たいからといって、胃腸を切り出させ、それを貰って逃げてしまえばよいのだ」
「そうか。しかし、同じ教授が二人おればすぐ見つかってしまうじゃないか」
「それで、俺が力を貸してやろうと思うんだ」と、仙波もいつの間にか、真剣になりました。
「先ず、貴様と一しょに警察のものだと偽って法医学教室をたずねる。教
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