安死術
小酒井不木
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)英語の Euthanasia《ユータネシア》 の、
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)翌年|義夫《よしお》という
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)何をするッ※[#感嘆符二つ、1−8−75]
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御話の本筋にはいる前に、安死術とは何を意味するかということを一寸申し上げて置こうと思います。といっても、別にむずかしい意味がある訳ではなく、読んで字の如く「安らかに死なせる法」というに過ぎないのでありまして、英語の Euthanasia《ユータネシア》 の、いわば訳語であります。「安らかに死なせる法」とは、申すまでもなく、とても助からぬ病気ならば、死に際に病人を無暗《むやみ》に苦しませないで、注射なり、服薬なり、或はその他の方法を講じて、出来るだけ苦痛を少なくし、安楽に死なせることをいうのであります。何でもユータネシアはローマ時代には盛んに行われたものだそうで、トーマス・モーアの「ユ
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