割の良い仕事では決してない、而も能く考へれば一方に於て非常な利益がある、夫は一回の翻訳は数十回の閲読にも増して、能く原書を理解し得ること、従つて読書力の非常に進歩する事、大に文章の修練に益する事等である、是れ唯だ一身の上より云ふのであるが、社会公共の上より言へば、文芸学術政治経済、其他如何の種類を問はず世界の智識を吸収し普及し消化する為めに、翻訳書を多く出さんことは、実に今日の急務である、従つて技倆勝れたる翻訳家は、時勢の最も要求する所である。



底本:「日本の名随筆 別巻45 翻訳」作品社
   1994(平成6)年11月25日第1刷発行
底本の親本:「幸徳秋水全集 第六巻」明治文献
   1968(昭和43)年11月発行
入力:浦山敦子
校正:noriko saito
2010年3月4日作成
青空文庫作成ファイル:
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