正六年押第二八八号十五の布地の地質、染色、模様等如何。
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と云うのだった。
さて十月二十五日の公判であるが、劈頭呼び出された鑑定人が退廷すると、今度は順次に証人が呼び入れられた。
第一に入廷したのは例の井戸浚いをした人夫で、裁判長の訊ねるまゝに予審廷に置けると大同小異の返答をした。次に呼び入れられたのは井戸から死体の出た当時、検視した医師である。之も予審廷に於けると同じような陳述をして退廷した。
次に呼び入れられたのは神戸牧師である。
神戸牧師は口をへの字に結んで太い眉をきりゝと上げながら、証人席についた。
彼はこうして公判廷に呼び出されるのを決して愉快には思っていなかった。元より被告と違って、何の罪がある訳ではなく、少しも恥る所はないのであるが、我国の風習では法廷に出ると云う事自身が既に快いものでない。それに裁判長には権柄ずくで訊問されるし、少しでも間誤《まご》つこうものなら厳しく追求せられる。反対の立場にある弁護人から皮肉な質問を浴びせられる事もある。牧師の身としてこんな目に遭う事は一種の侮辱を感ぜざるを得ない。それに証言そのものは支倉の私行上の
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