とか二万円とか財産があるから、其四分の一を上げるから承知して呉れと申しまして、多分筆記場で書いたのだと存じますが、遺言状と委任状を書いて私に寄越しました。それを十五日の朝看守に発見せられたのです。
支倉は口癖のように窃盗は実際やったのだが、放火殺人は少しも覚えのない事だ。警察署長に瞞されたのだ。口惜しいと申して居りました。同人は絶えず煩悶しているようで、何かと云うと直ぐに死ぬと云いますので同監いたして居りまして薄気味が悪くてなりませんでした。然し口では死ぬ/\と申していますものゝ、実際やる積もりだかどうだか分りませんでした。どっちかと云うと信用出来ないと思って居りました」
この自殺を企てた事については支倉は先に上願書のうちに申訳ありませんと詫《あやま》っていた事は書いたが、その後に尚次のような文句があるのだ。
「その際の遺言状一通、委任状一通何れも根も葉もなきことにて、被告は悪き事とは知りながら、兎角囚人なる者は欲深きものでありますれば、被告は先方に花を持たせ自己の目的を達せんとしたのであります。今になり考えますれば誠にすみません申訳ありません」
さて、五月三十日に古我判事の待ち
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