弁護したのであるから、流石の警察もすっかり一杯嵌められて終《しま》った。
第三回の放火は前にも増して、巧妙で且つ大胆不敵に行っている。これは品川署の管内であったが、彼は俗に立ン坊と称する浮浪人を一人傭い入れて、彼の家に火をつけさした。そうして、当夜は平然と妻と衾《しとね》を同じゅうし、枕を並べて熟睡していたのである。品川署もすっかり騙されて、支倉には一片の嫌疑さえかけなかった。
この時は半焼に止《とゞ》まったのだったが、支倉は品川署の署員に十円を贈って書類を胡麻化し、保険会社の外交員に三百円を与えて全焼と云う事に報告させて、巧に保険金の全額を受取った。重ね重ねの悪辣さには驚くの外はないのである。
貞に対する暴行、抑※[#二の字点、1−2−22]本事件を巻き起すに至った原因の聖書の窃盗なども、無論すっかり自白したのだった。
彼の不逞極まる罪状や、執拗な逃走振り、それに強情に拒否を続けた態度が態度だっただけ、一旦自白となると、スラ/\と澱《よど》みなく潔くすべてを打明けた態度には、署長始め掛員一同すっかり敬服して終った。
彼の長い自白が終ると、庄司署長はホッと重荷を下して、喜びの
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