抗をし続けていると結局君の損なんだよ」
「反抗している訳では毛頭ない」
 根岸の縷々として尽きない言葉に、支倉は少し面を和げながら答えた。
「然し知らない事は返事が出来ないし、あまり威丈高になって聞かれると、勢い僕の方でも黙って引込んで居られないと云う訳だ」
「成程、君の云う事は尤だ。然し我々は君が知らない筈がないと思うのだがね」
「それは意見の相違で、つまり水かけ論さ」
「そうすると君は高輪の火事の時に半焼になったが、保険の勧誘員に金をやって全焼の扱いにして貰った事も否定するのだね」
「勧誘員に金はやったよ。然しそれは単なる謝礼の意味で、半焼を全焼にして貰った覚えなどはない」
「あの火事の晩に、君は俗に立ン坊と云う浮浪人に金を出して雇っているが、あれは何の為だったのだね」
「何の為でもない」
 ふと口を滑らした支倉はあわてゝ続けた。
「いやそんな者を雇った覚えはない」
「ふん、ではそれはそうとして、君は小林貞の叔父の定次郎には度々脅迫されて、弱ったろうね」
「あいつは実に悪い奴だ」
 支倉は口惜しそうに、
「あいつには随分ひどい目に会わされた」
「ふん、それで君が小林貞を病院から帰る
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