持っていたとか云うが――」
「毒薬は無論第一に取上げました」
「では、急病でも起したと見える」
 主任は飛んで来た刑事を振り向いて、
「直ぐ医者を呼んで呉れ給え」
「承知しました」
 刑事が出て行くと、主任はすっくと立上った。
「おい、見に行こう」
 一同がうち連れて独房の前に立つと、薄暗い不潔な箱の中で、支倉が顔蒼ざめて手足をバタバタさせながら呻吟していた。

「どうしたのか」
 大島主任は独房の中を覗きながら声をかけた。
「うーむ」
 支倉は然し答えようともしないで唸り続けていた。
 石子刑事は檻の中に這入って、支倉を抱き起したが、彼は蒼い顔をして苦悶をしているだけで、吐血した模様もない。
「どうしたんだ」
 石子は呶鳴った。
「うーむ、苦しい、俺は死ぬんだ」
 支倉は喘ぎながら答えた。
 所へ急報によって警察医が駆けつけて来た。
 小柄な老医は支倉の脈をじっと握っていたが、
「どうしたんだね、腹でも痛いのかね」
 と優しく聞いた。
「えゝ」
 支倉はグッタリしながら答えた。
「そうか、抛っときゃ治るよ。大した事じゃない。何か悪いものを食べたのか」
「えゝ、呑んだのです」
「呑んだ
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