「当時|神戸《かんべ》という知合の牧師が仲介にたって、相当の事をして以後問題の起らぬ筈になっている」
「そうか、それでは暴行の事実を認めるのだね」
「――――」
支倉は黙って答えない。
支倉が黙り込むと、大島主任は勝誇ったように追究した。
「黙っていては、分らんじゃないか」
「その事ならどうか神戸牧師に聞いて下さい」
支倉は諦めたように答えた。
「そうか、よし、ではその事は後廻しとしよう」
警部補は満足げにニヤリとしたが、直ぐ真顔になって、
「その小林貞と云う女中はその後行方不明になっているが、その居場所はお前が知っている筈だ。隠さずに云うが好い」
「そんな事は知らない」
支倉は激しくかぶりを振った。
「わしが知る訳がない」
「馬鹿を云え」
主任は一喝した。
「知らんとは云わさんぞ」
「貞の行方は叔父の定次郎が知ってる筈だ」
支倉も負けないで喚くように云った。
「定次郎が病気の治療代を度々請求するので、一度本人を連れて来いと云った所、定次郎は本人を見せるともう金が取れないと思って隠して終ったのだ」
「そうか、するとお前は定次郎に本人を連れて来い、金を遣るとこう云ったのだ
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