った屍体を小林貞と極める訳には行かぬ。それに一つ困った事には、鑑定の結果は十五、六の小娘にしては骨格が稍大きすぎると云う事だった。行方不明になっている女中は年相応の大きさで決して大柄の女ではなかったので、大き過ぎると云う事は、屍体を小林貞なりと断定するには不利な鑑定だったのである。それで残された唯一の手がかりとしては、死体の下敷となっていた為に、漸く痕跡を残した腰の辺の着衣の一部だけである。で、取敢ずボロ/\になった布片を高等工業学校に送って鑑定を乞うたのだった。其結果が今日分るので、石子刑事はそれを聞き取るべく学校に出かけて行くのだった。
石子刑事に取っては浮沈の分れる時と云って好いのだった。染色科の教授の鑑定の如何によっては、掘り出した白骨は小林貞と確定する事が出来る。そうすれば只に三年前に行方不明になった女の死体を尋ね出したと云うだけではなく、進んで支倉の恐ろしい犯罪を立証する事が出来るかも知れぬ。が、然しもし鑑定の結果が予期に反したとすると、第一に数日間全精力を傾倒して、必死の思いでかゝった仕事が根本から水泡に帰して終う。のみならず、署長以下同僚に対して合わせる顔がない、そし
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