A狂つた蜘蛛のやうに、
あなたの頸を走るでせうから。
あなたは僕に云ふでせう、『探して』と、頭かしげて、
僕等蜘蛛|奴《め》を探すには、随分時間がかかるでせう、
――そいつは、よつぽど駆けまはるから。
[#地付き]一八七〇、十月七日、車中にて。
[#改ページ]
災難
霰弾《(さんだん)》の、赤い泡沫《しぶき》が、ひもすがら
青空の果で、鳴つてゐる時、
その霰弾を嘲笑《あざわら》つてゐる、王の近くで
軍隊は、みるみるうちに崩れてゆく。
狂気の沙汰が搗《(つ)》き砕き
幾数万の人間の血ぬれの堆積《やま》を作る時、
――哀れな死者等は、自然よおまへの夏の中、草の中、歓喜の中、
甞《(かつ)》てこれらの人間を、作つたのもおゝ自然《おまえ》!――
祭壇の、緞子《(どんす)》の上で香を焚き
聖餐杯《(せいさんはい)》を前にして、笑つてゐるのは神様だ、
ホザナの声に揺られて睡り、
悩みにすくんだ母親達が、古い帽子のその下で
泣きながら二スウ銅貨をハンケチの
中から取り出し奉献する時、開眼するのは神様だ
[#地付き]〔一八七〇、十月〕
[#改ページ]
シーザーの激
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