写真のもっとも古風なものは、その周囲を美しい金属のフレームで飾られ、打ち出し模様ある革製の箱に収められてことのほか悦ばしきものであった。今や人々は祖先の肖像を入れたまま仏壇の引き出しの底深くしまい込んで忘れているであろうかも知れないが一度取り出して観賞して見るがいいと思う。
 しかし多少新しい時代のものは白き桐箱に入っている。あれはもうわれわれには興味が持てない。

 さてガラス絵のことだが私はその歴史に関しても知りたいと思っているが、なにしろ欧州、インド、支那、日本といった具合にかなり手広い諸国で製作されているかのようである上にその絵には署名あるものがない。年代も記されていないので、誰が、どこで、どうして作ったのかわからない。私の持っている、マドモアゼルロアソンという文字が記されている二人の娘の肖像も、まったくオランダあたりから渡来したのかと思っていたが、よく見るとそれは支那製である事がわかった。あるいは案外長崎辺りで作った日本品であるかも知れない。ところで私はだいたい、ガラス絵だからといって何でも買って集めたり歴史を調べたりする余暇も興味もないので、ただわからないままにそのよきもの
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