必ず夢を見る。昨夜見た阿呆らしい夢を付録としてちょっと紹介しておく。
一台の飛行機が西の空から飛んで来た。私は見ていた。それが近所の湯屋の煙突へ衝突したのだ。おやと思う瞬間、両翼はもぎれてしまって魚のような胴体がフワリフワリと中空を泳いでいるのだ。二人の飛行家がその上で狂人の如く駆けまわっているのがよく見えた。私はどうすることかと見ていると二人はパラシュートを持って飛んだのだ。一つは赤で一つは白だった。それが馬鹿に綺麗だった。そして二人とも電線に引っかかったのであった。下で見ていた群集の一人が電線はおかしいぞと叫んだ。しかし私はそれでほっと安心をして朝の九時まで寝てしまった次第である。
シュールレアリズム
シュールレアリズム的傾向ある作品に、相当の興味を私は感じますし、またキリコあたりの(もっとも本ものを見ないから大きなこともいえませんが)写真版位で見ても、かなりの不思議な新鮮さを感じることが出来ます。ことに印象派紫派等の作品の伝統を今に支えている風景画など多いわが国では、それらの傾向ある作品に接し、あるいはシュールと声を聞いただけでも退屈せる若いものにとってはうさを晴らさせるに充分な力があります。
私はどんなイズムに限らずどしどしと歓迎していいと思います。今まで日本へ到来したイズムは皆相当日本の画壇のために役立って来ています。また日本人はそれを応用することにかけては鋭い人種です。
ただ淋しいことには一度もまだ日本内地でイズムが製造されたり発生したことのないことです。どんなつまらないイズムでもパリで製造されたものは、神様の所業らしく日本へ伝わることです。世界の片田舎に住んでいるのははなはだ淋しいことです。藤田嗣治氏の画業でさえも、もしあの画風を日本内地で製造していたら、あれほどフランス人と日本人を同時に驚かしてみることは出来なかったかも知れません。それは余談ですが、何しろイズムを製造するにはまだ当分フランスパリで作ってみなければ作り甲斐も製造の致し栄えもありません。近頃の日本の広告美術家達は画家達よりもモダンの尖端に立っています。それで、シュールレアリズムなどは、もはや百貨店の店頭にまで応用されているように思えます。さてまた次のイズムの到来をお池の鯉の如く口を開いて待っていることでしょう。
眼
妙なもので、絵に熱中している時は文章が書け
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