思う、あまり必要でもない事だから知らずにいてもすむが時々|可笑《おかし》く思う事がある。
私は十幾年以前奈良の浅茅《あさじ》ケ原《はら》で泥棒のために絵具箱とトランクを盗まれた事がある、その泥棒がつかまって、私は警察署へ出頭して絵具箱を頂戴《ちょうだい》して帰った、その時奈良の新聞には古い都だけあって、油絵師何某とかかれてあった。
油絵師などなかなか結構な名称ではあるが近代のお河童《かっぱ》連には少し似合わない気がする。
所得税
絵描きが、まだ職業であるかどうか自分でもはっきりしないうちに、私は所得税を支払うべき身分となってしまった、これは国民として慶賀すべき事で当然の事である、だが、肝腎《かんじん》の所得が怪しいから閉口する、私は、性来の健忘症と不精から、所得の申告というものをうっかり捨てておいたのだ、すると、私の収入をちゃんと見抜いて、それだけの税金が申渡された、しかしそれが、私の所得のまずかなり正確な処を見抜いてあったのには驚かされた、さすが専門家だと思った、私よりも税務署の役人の方が、私の財布をよく知っていそうな気さえした。
するとまた次の年が来た、再び不
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