って無理解で無趣味だということを説明して話をそらしてしまうのである。
私は今までに幾度となくこの種の表情を見た。以来私は非常に芸術に無関係らしいところの、相当の年輩の紳士に紹介されることを怖れるようになった。もう止してくれ、止してくれ、と心で叫んでいるうちに、何も知らない私の友人は手早く紹介してしまうのである。そしてあの嫌な表情に出会うのだ。潔癖で強情で神経の尖った絵描きはこの顔を見て山へ隠れてしまいたくなるのだ。神経の太いある種の芸術家はこのいやな顔からこそうまく金を引き出そうと考えるのである。
雑念
私は算術という学科が一等嫌だった。如何に考え直しても興味がもてないのだった。先生に叱《しか》られても、親父《おやじ》から小言《こごと》を食っても、落第しかかっても、一向好きになれなかったのみならず、興味はいよいよ退散する一方であった。
5+5が10で、先生がやって生徒がやっても、山本がやっても、木村がやっても、10となるのだ。10とならぬ時には落第するのだからつまらない。
私は5+5を羽左衛門《うざえもん》がやると100となったり、延若《えんじゃく》がやると55となっ
前へ
次へ
全166ページ中105ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング