木製の荷車のような汽車で辛抱しようとは、決して思ってくれないのだ。私は大人でもこの木製の方は嫌だと思う。
しかしながら近頃は日本品が舶来品に負けないということを知らしめるための展覧会が、時々大いに催される。
そんなことからでもあるのか、近頃は玩具に限らず雑貨にしろ、洋菓子にしろ何によらずその体裁と外形だけはさも舶来品らしく模造し出したので、ちょっと見たところはさもよいものであるらしく見えたりするのである。
なるほど展覧会というものは見たり眺めたりするだけのものだから、その見かけだけは劣らないようにと心がけが発達して来たものかも知れない。ついでに手に取って使ってみても劣らないものが出来ればいいのだが、そんな時代は次には来るものとしても、ともかく今の時代の子供はまだまだ不幸である。
ついでに日本で一般にケーキと呼ばれて広まっているところの菓子のまずさと、西洋菓子屋の店頭に並べてあるところのリボンのかかった美しい箱入の洋菓子の味なさかげんを嘆じてこの稿を終わる。
[#地から1字上げ](「美之国」昭和二年一月)
尖端の埃
古色を帯びたる活動写真、飛行機、自動車のエンジン、パ
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