ので、大きなトランクを一つ買入れたよ。
十二月二十五日
いよいよカニューへやって来た。田舎びた美しい、殆ど伊太利に近い海岸である。一寸魚崎辺に似ている。今日はクリスマスの日である。昨夜は田舎の町の活動写真へ入った。今晩は村の人達が夜の十二時から、ここのお寺へ集って祈りをするので遅くまでにぎやかだ。
気候も日本の魚崎辺のぬくさに似ている。
十二月(日不明) カニューにて
此の海岸は、須磨明石垂水と云う様な処である。ぜいたくな処だが、僕のいる田舎はさも田舎らしい処だ。
きのうは、カンヌを見物に出かけた。あすはモンテカルロへ行こうと思う。同じホテルに正宗、中村、榊原君などがいる。あまりカンセイであるので、巴里へ帰り度い気がする。
この近所にカンヌ(Cannes)と云う処と、僕のいるカニュー(Cagnes)と云う処とあるのでややこしい。
十二月(日不明)――P. Sicardy's 写真入カードで――
Cagnes の村に、ただ一つ、活動写真小屋がある。僕のいるホテルの、すぐ裏手だ。帽子も被らずにとび出して、見に出かける。夜の八時半から始まるんだ。写真は、アメリカものが
前へ
次へ
全152ページ中139ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小出 楢重 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング