分船には馴れて来たので、少々の波やゆれには感じなくなってしもうた。
昨夜は遠方で電光の閃くのを見た、少し夕立もしたが、海は静かだ。
船は支那の沿岸を近く走っているらしい、灯台の光りを時々見る。
三等には、ロシヤ人、支那人、ポルトガルの詩人などがいる、面白い。
用意して来たものの中では、トーチリメンのユカタが一番よく間に合っている。
それから最後に作ったねずみの夏服が実によろしい、毎日あれを着ている、よく作って置いた事だ。
上海で洋服を作るとか何んとか云うが、とてもそんな間なんぞあるもんか。
人の云う事は全くあてにならん。
デッキシューズもよろしかった。
タオルのねまきは、少しやはり暑すぎる。大抵クレープのシャツのままねている。
僕の準備は、大変、然しウマク、支度が出来ていたよ、これは感謝する。
洋食は三度三度だが、一向飽きない、だんだんすきになる。日本めしはライスカレー以外めったに食わぬ。
泰ちゃんも、皆たっしゃか。気をつける様に。
この手紙を三休橋の方へも持って行って見せてくれ。和田の方へも同じくたのむ。
八月二十日
船は明方の六時に出帆した。シンガポ
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