衷心からの不安を感じる。
彼らに祖国への愛を植えつけるためには、非合理的なるものへの直観を要し、さらに彼らに神への帰依を目ひらかしむるためには、啓示への受容を説かなければならないからである。
人間教育者としてのわれわれの任務を思うとき、われわれは彼ら純真の若き生命に対し、生と人間性とを最高の可能性において、その存在の神秘性において、提起しておかなければならない命令を感じる。
たとい彼らにとって当面には、そして現実身辺には、合理的知性の操練と、科学知の蓄積とが適当で、かつユースフルであろうとも、彼らの宇宙的存在と、霊的の身分に関しては、彼らが本来合理的平民の子ではなくして、神秘的の神の胤であることを耳に吹きこんでおきたいのである。なぜならいつかは彼らはその霊的の身分に目ざめねばならないから、そして聖なる国と神の街との建設に向かわねばならないからである。[#地から2字上げ](一九三八・一二・二)
底本:「青春をいかに生きるか」角川文庫、角川書店
1953(昭和28)年9月30日初版発行
1967(昭和42)年6月30日43版発行
1981(昭和56)年7月30日改版25版発行
入力:ゆうき
校正:noriko saito
2005年6月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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