た、妾だったので嫉妬して、私の咽喉を締めたんだわ」
「じゃア僕を招《よ》んだのは、グレーの奴を殺させるため、……ただ、それだけのためだったんだね」
「それもあったわ、でももう一つ、妾あんたが好きだったからよ」
 ――それなら可《い》いと僕は思ったよ。
 友よ、これでお終《しま》いだ。
 古人《こじん》燭をとって夜遊ぶさ。今人《こんじん》の僕はこんな遊びをしている。あくどい[#「あくどい」に傍点]、刺戟の強い、殺人淫楽的の遊びを!
 しかもそれが生活でもあるのさ。
 さようなら、さよなら。



底本:「国枝史郎伝奇全集 巻六」未知谷
   1993(平成5)年9月30日初版発行
初出:「オール読物」
   1931(昭和6)年12月
入力:阿和泉拓
校正:門田裕志、小林繁雄
2005年9月10日作成
青空文庫作成ファイル:
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