。と行手に石垣があり、立派な門が建っていた。
「ははあ門があるからには、門の向こう側は往来だろう。よしよしあの門を乗り越してやれ」
門の柱へ手を掛けた。ひらり[#「ひらり」に傍点]と屋根へ飛び上がった。そうして向こう側を隙《す》かして見た。
思わず彼は「あっ」と云った。そこに大勢の人影が夜目にも解る弓姿勢で、タラタラと並んでいたからであった。弓を引き絞り狙《ねら》っているのだ。
彼は背後《うしろ》を振り返って見た。そこでまた彼は「あっ」と叫んだ。十数人の人影が、鉄砲の筒口を向けていた。
彼はすっかり[#「すっかり」に傍点]計られたのであった。腹背敵を受けてしまった。もう助かる術《すべ》はない。飛び道具には敵すべくもない。
が、しかし彼の頭を、その時一筋の光明が、ピカリと光って通り過ぎた。
「ここは江戸だ。しかも深夜だ、よもや鉄砲を撃つことは出来まい。撃ったが最後世間へ知れ、有司《ゆうし》の疑いを招くだろう。邪教徒の教会はすぐに露見だ。一網打尽に捕縛《ほばく》されよう。……断じて鉄砲を撃つ筈はない……弓手《ゆみて》の方さえ注意したら、まず大丈夫というものだ」
で、彼は屋根棟へ
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