那、女がクルリとこっちを向き、ヒューッと何か投げつけた。危うく避けたその間に、二人の姿は掻き消えた。投げられた物は紐であった。紐が彼へ飛び掛かって来た。それは一匹の毒蛇であった。
で、三つに斬り払った。
行手は厳重の石垣であった。越して逃げることは出来なかった。
でまた彼は引き返した、こうして以前の場所へ来た。
反対の側にも建物があった。地面から五、六階の石段があり、それを上ると戸口であった。もちろんその戸は閉ざされていた。そこで彼は石段を上がり、その戸をグイと引っ張って見た。と、意外にも戸があいた。とたんに彼は転がり落ちた。転がったのが天佑《てんゆう》であった。戸が開くと同時に恐ろしい物が、彼を目掛けて襲いかかって来た。それを正面《まとも》に受けたが最後、彼は微塵《みじん》にされただろう。
一五
円錐形の巨大な石が――今日で云えば地均轆轤《じならしろくろ》が、素晴らしい勢いで落下したのであった。
ドーンと戸口は締められた。後は寂然《しん》と音もしない。しかし無数の邪教徒が、四方八方から彼を取りこめ、討ち取ろう討ち取ろうとしていることは、ほとんど疑う余
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