白」にある。
 石子伴作が金鯱調べに、名古屋城内へ入り込んだことも、まんざらの嘘では無いということも、或る名古屋の老人から聞いた。
 お半の方とは何者だろう! もう大方読者の方では感付いていられるかもしれないが、尾張宗春が部屋住時代に、無礼討ちにした伴金太夫、その武士の遺児なのであった。
「居附造り」とは何んなものか? 築城師で無い作者には、残念乍ら解ってはいない。
 さて其後宗春は、どんな生活をしたかというに、覇気も野心もうっちゃっ[#「うっちゃっ」に傍点]て、阿片とそうしてお半の方とに没頭したということである。



※底本にある、かぎ括弧(「」)のあきらかな誤り(『』となっているものや脱字)については、読み易さを優先し本文中とくに注記は入れないこととした。以下、誤りの修正箇所を示す。
[#底本の閉じ括弧は「』」、58−下15]、[#底本の閉じ括弧は「』」、69−上18]、[#底本では閉じ括弧は「』」、75−下18]、[#底本では始め括弧は「『」、96−上5][#底本では始め括弧が脱字、102−上9][#底本では閉じ括弧が脱字、102−下20]

底本:「妖異全集」桃源社
   1975(昭和50)年 9月25日発行
入力:地田尚
校正:小林繁雄
2002年2月18日公開
青空文庫作成ファイル:
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