なして光っている。無数の水禽《みずとり》が湖心の辺《ほとり》に一面に浮かんで泳いでいたが、船が近付くのも知らないようにその場所から他へ移ろうともしない。
 私達は湖水の中心へ来た。そこでしばらく船を留めて湖底の様子を窺った。しかし到底水眼鏡などでは幾丈と深い水の底を突き止めることなどは出来なかった。靡《なび》く水草、泳ぐ魚、わずかにそれらが見えるばかりだ。
 そこで今度は岸に添うて湖水の周囲を調べようと土人軍達が屯《たむ》ろしているその岸を指して船を漕いだ。土人達はほとんど間断なく空砲を空に向けて撃っている。その陰森たる大砲の音は人跡未踏の神秘境のあらゆる物に反響して木精《こだま》となって返って来る。
 こうして私達の革船が岸から十間ほどに近付いた時、にわかに船が動かなくなった。そしてその次の瞬間には、反対《あべこべ》に船は速く走って後方《あと》へ後方へと戻るのであった。
 思いがけないこの出来事はどんなに私達を驚かせたろう! 半分飽気にとられながらそれでも腕力を櫂にこめて岸へ近付こうと漕ぎつづけた。すると今度は後方《あと》へも戻らず勝《ま》して前方《まえ》へは進もうともせず岸から十間
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