船を浮かべよう! 皮で作った船がある! そして湖水の底を見よう! 湖水の秘密の第一歩をとにかく探って見ようではないか!」

        三十九

 探検隊の一行は私を蕃地へ残したまま元来た方へ引き返した。探検隊の人達は――わけてもラシイヌ探偵は自分達と一緒に来るようにと熱心に私に勧めたけれど私は同意しなかった。どうして同意しなかったかというに、それには私だけの理由があった。
 一行がいよいよ湖畔を去って深い原始林へはいって行くや、今まで姿を見せなかった有尾人どもは木や草の中から醜悪の顔を覗かせて賑やかにお喋舌《しゃべり》をやり出した。そして人猿とほとんど一緒にどこかへ姿を隠してしまった動物学者の老人もいつの間にか岩窟に帰っていた。私は今まではダンチョンと一緒に蕃地に停まっていたのであったが、そのダンチョンも一行と一緒に原始林の中へ消えて行って私は文字通り一人ぼっちになった。だから私の友達と云えば予言者のような老人と尾を持っている原始人と湖底の怪物トラコドンなどで、友達と云えば友達ではあるが、いずれも縁遠い者どもであった。
 私はやはり以前《もと》の通りに老人と一緒に老人の岩窟で朝夕
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