宝庫を守る有尾人種(中)


        二十八

 私の見つけた果樹園には椰子《やし》や檳榔樹《びんろうじゅ》やパインアップルやバナナの大木が枝も撓《たわ》わに半ば熟した果実《このみ》をつけて地に垂れ下がっているのであって、その果樹園の中央所に四方を石で畳み上げた人工の泉が湧き出ていた。苔や木の葉に蔽われてはいたが、玉のような水は濁りもせず掌に掬《すく》って飲んで見ると一種の香味と甘味とを備えて大変軟らかな水である。
 果樹園と泉とを見つけてからは私は急に心強くなって生活にも不安が伴わなくなった。菜食人種の私にとっては、魚肉や獣肉の食われないということもさして苦痛とは思われない――このように私が果樹園を発見したということを例の「眼に見えぬ恩人」はどこかで見ていて知ったと見えて、もはや果物や清水の類を持って来ることをしなくなった。その代りある日土人用の弓と矢とをこっそり持って来てくれた。それにもう一つ火打ち石と火打ち鎌とを持って来てくれた。おかげで私はそれ以来鳥や獣を獲ることが出来て、それらの肉を火で炙《あぶ》って賞味することが出来るようになった。私はその時まあどんなに一|摘《つ
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