そして阿片窟の経営者が誰であるかを突き止めました。袁更生という男です。そして自分では袁世凱の後身だと云っているのです。そして世界の各国へ阿片窟の支部を設立し、世界中の人間を堕落させて、そして自分が全世界を征服するのだなどと高言して、愚民を騙《たぶら》かしていたそうです。それほど大がかりの阿片窟が、どうして今日まで知れなかったかというに阿片窟へ出入りする人間を、よく吟味して加入させたからで、今云った首領の袁更生が例の催眠術で誘拐して来ても、途中でその人間の強弱を試し、臆病な奴はそのまま途中で、自己催眠で自殺させ、街路で容捨なく捨ててしまい、大胆な者だけを連れて来たので、秘密が保たれていたのです」
 ラシイヌ探偵は云ってしまうと、葉巻を出して火を点けて、さも旨そうにふかし出した。
「残念な事には」とラシイヌはちょっと片眼をひそめたが、「かんじんの首領の袁更生だけを、まんまと取り逃がしてしまったので、こいつは私の失敗でした」
 こう云ってニヤリと苦笑した。

    第四回 上海夜話


        十七

 上海《シャンハイ》、英租界の大道路、南京路《ナンキンルー》の中央《なかほど》の
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