よ! お前の本心は麻痺している! それとも本当に無垢のお前を、穢した人間があるというなら、そいつを私に明かしておくれ! そうだ、そいつを明かしておくれ!」
私はほとんど半狂乱のうろうろ声で云い迫った。
しかし紅玉《エルビー》はそう云われても、尚|譫言《うわごと》をつづけるのであった。
十六
「きっとあなたは知っていらっしゃるわね。近頃|北京《ペキン》から田舎まで、妙な詩《うた》が流行《はや》っているでしょう。あの詩の意味を知っていて? 『古木天を侵して日已に沈む』こう真っ先にあるでしょう。あの意味はこうよ、こうなのよ――天のように偉かった支那の国に、古い大木が蔓延《はびこ》って、支那の国を蔽うたので、日光を透すことが出来なかった。そのうちにその日が沈んでしまった。つまり日というのは文明のことよ……『天下の英雄寧ろ幾人ぞ』こうその次にあるでしょう。この意味は読んで字の通りよ。つまりそうなった支那の国には、英雄などというものは、一人もないと云っているんだわ。『此の閣何人か是れ主人』これが三番目の文句ですわね。閣というのは他でもない、地下に出来ている館のことよ。私達の
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