その後引続き七年間も大学に居て、相変らず思ふ存分のことを書き、大学をやめてからも、勝手放題のことを仕出かしながら、今も尚ほ無事に生きながらへてゐて、この世界大乱の時節に、貧乏はしながらも悠々自適、気の向くままに時にはこんな思ひ出など書きながら、余生を楽むことが出来ると云ふのは、考へて見ると、実に過分の幸福と謂はねばならぬ。さう思ひながら、私はここにこの思ひ出、第十一の筆を擱く。
[#ここから地付き]
┌昭和十八年四月二十四日稿了┐
└ 同 四月二十九日清書┘
[#ここで地付き終わり]
底本:「日本の名随筆 別巻96・大正」作品社
1999(平成11)年2月25日発行
底本の親本:「河上肇全集 続7」岩波書店
1985(昭和60)年12月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
※「×」は、底本が用いた伏せ字用の記号です。
※2行にわたる丸括弧は、罫線素片に置き換えました。
入力:加藤恭子
校正:篠原陽子
2005年2月20日作成
青空文庫作成ファイル:
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