、一日一日と物識りになり、美しくなっていくのを、黙って見ていなければならぬ恨めしさ。七時過ぎまでは食事もできないで、晩食後の片づけに小皿一つ粗※[#「勹<夕」、第3水準1−14−76]《そそう》をしまいと血眼《ちまなこ》になっている時、奥では一家の人たちが何んの苦労もなく寄り合って、ばか騒ぎと思われるほどに笑い興じているのを聞かなければならぬ妬《ねた》ましさ。それにも増して苦しかったのは奥さんの意地悪だ。妙な癖で、奥さんは家内のものの中にかならず一人は目のかたきになる人を作っておかなければ気がすまないのだ。その呪いの的になる人は時々変りはしたけれども、どういうものかおせいは貧乏籤《びんぼうくじ》をひいた。露ほどの覚えもないことをひがんで取って、奥様一流の針のような皮肉で、いたたまれないほど責めさいなむのだった。これが嵩《こう》じると自分までヒステリーのようになって、暇を取ったくらいでは気がすまないで、面あてに首でも縊《くく》ろうかと思う時さえあった。さらにそれにも増していやらしかったのは旦那様の淫《みだ》らなことだった。奥さんの目褄《めづま》を忍んでその老人のしかけるいたずらはまるで蛇
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