・三〇−一〇・〇〇トンネル 〇・三〇上高地温泉
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雨の日に出ることの危険は知っていたが、これほどまで凄いとは思わなかった。出勤の日が切迫していたので無理に出たが、あんな日にはもう二度と出まいと思った。幸か不幸かトンネルの入口が雪崩でこわれ、雪が一杯詰っていて通れずやむなく引返した。
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二十五日 快晴 七・〇〇発 〇・〇〇徳本峠 二・三〇岩魚止 七・二〇島々
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昨日の雨で岳川谷の下半部は真青になっていた。徳本《とくごう》は、普通輪※[#「木+累」、第3水準1−86−7]で登る左の小さい谷に入って意外にひまどった。徳本の島々谷側は峠の東北側から一直線に底雪崩が下まで走っていた。たいていの谷から凄いのが出ていた。それらを横切るのにピッケルが必要だった。この一週間は割合天気がよかったが、僕と入れ代りに上高地にきたB・K・Vの成定氏および額氏は、その後一週間毎日雪が降り、殺生小屋附近しか登れなかったという。
[#地から1字上げ](一九二五・一二)
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私の登山熱
私は神戸に来てから三年くらい旅行の味を
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