逢えり、温泉に入浴昼食をとり一時中房温泉発、急なる登りなり、四時半|燕《つばくろ》小屋着、途中女学生の一隊多数下山するに逢う。サイダーを飲み高い金を払う。軽装(ルックザックを置き)にて燕頂上へ五時着、三角点にて万歳三唱せり。途中立山連峰、白馬、鹿島槍を見、鷲羽連峰等飛んで行けそうなるほど近くはっきりと見え心躍る、燕小屋へ引返し午後六時泊、槍は雲かかりて頂上見えず。
[#地から1字上げ]二十六日(月曜日)晴後雨
燕小屋午前六時出発、この路アルプス銀座通りといい非常に景色よく道も良し、今朝の御来迎は相当よく富士などはっきり見え槍も見ゆ。大天井岳の前にて常念道、喜作新道の岐れ道あり、そこにルックザックを置き、大天井頂上を極む。三角点にて万歳三唱、豪壮なる穂高連峰、谷という谷に雪を一杯つめ、毅然とそびえたるを見、感慨無量なり、もとの道に引返しルックザックをかつぎ喜作新道を進む。右高瀬川の谷を眺め、眺望よきこと言語に絶す。この辺の景色北アルプス第一ならむ。西岳小屋にて休み焼印を押し、昼食をなす。途中広島の人(東京の学校にいる)東京の人(官吏)と三人となり十一時半頃出発、途中にて人々に別れ、一
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